個人事業主が経費として認められるものですが、それは仕事上欠かすことのできない費用になります。事業活動と直接または間接的に関係があって、事業を行う上で必要な費用ということです。

個人事業で必要経費として計上できる基準

基準としては大きく分けて2つあります。

  1. 事業活動に直結しているということ。
  2. その事業活動に関連していること。

です。

事業に関連しているかどうか、直結しているかどうかは、個人事業主が判断をした上で客観的にも認められる必要があります。関連性だけの問題ではなく金額の多寡も関係してきます。

客観的に見て妥当で適正な金額であることも重要になります。

経費の勘定科目一覧

 

勘定科目 内容・内訳
売上原価 販売した商品の仕入代金や製造原価
減価償却費 建物、車、機械などを固定資産とした場合
工具器具備品 工場や建築現場で使う工具類や事務所で使う器具備品(応接セット・パソコン・クーラー・キャビネットなど高額なもの)。有形固定資産の勘定科目で決算には減価償却が必要。
減価償却費 建物、車、機械などを固定資産とした場合
賃借料 車両、機械、パソコンなど土地建物以外のものを借りた時にかかる費用。
一括償却資産 10万円以上20万円未満のものを買った時に使える固定資産の勘定科目。購入金額を3年で分割して減価償却(費用に算入)ができる。
車両運搬具 事業につかう車両(普通自動車・軽自動車・トラック・バスなど)や運搬具。有形固定資産の勘定科目で決算には減価償却が必要。
車両費 車にかかる費用をまとめた勘定科目。ガソリン代、車検代、オイル交換、車両修理、パンク修理、車両点検(整備)費用など。
修繕費 機械や建物、備品などの保守点検、メンテナンス、修理にかかった費用(経費)。壁の塗り替え、冷房修理、机の修理、解体費、畳の入替、屋根修理、パソコンやコピー機の修理など。
消耗品費 10万円未満の備品・パソコン関連商品・使用可能な期間が1年未満の物品など。
水道光熱費 電気代・ガス代・水道代などにかかる費用(電灯、暖房費、冷房費、灯油代、プロパンガス代など)。
租税公課 事業がらみで支払う税金(印紙税、自動車税、登録免許税など)
給与賃金 従業員への給与・賞与、退職金
通信費 電話代・インターネット代(サーバー代・ドメイン代、プロバイダー代)・郵便料金にかかる費用。
荷造運賃 段ボール・ヒモ・テープ・宅配便代・発泡スチロールなど、商品の発送にかかわる費用。
広告宣伝費 販売促進(販促)を目的に作った商品の費用や広告宣伝費。パンフレット、チラシ、PPC広告、ポスター、見本品、試供品、吊り広告、ホームページ制作、アフィリエイト広告、看板、展示会出品料、協賛金、キャンペーン費用など
新聞図書費 新聞、書籍、雑誌などの費用。業界雑誌、専門書、図書カード、雑誌、書籍、メルマガ、有料情報サイト、図書カードなど。
外注費 原稿、イラスト、デザインなどの依頼料。
取材費 原稿を書くための取材にかかった費用など、制作系フリーランスでよく使う勘定科目。
事務用品費 事務作業で使用する文房具(ノート、ボールペン、シャーペンなど)、コピー用用紙、電卓などの事務用品。(使う頻度が少ない場合は「消耗品費」にまとめてしまってもよい)
接待交際費 事業を円滑に行うために得意先や取引先に対する接待に関する費用。お歳暮、お中元、お土産、食事代、パーティ代、ゴルフ場利用料、開店祝い、出産祝い、お車代など。
支払手数料 銀行などの金融機関で振込をしたときの手数料や弁護士、税理士など外部の専門家に対する報酬の支払い。振込手数料、振替手数料、ネットショップ出店費、弁護士相談費用、社労士・会計士・司法書士・税理士への報酬など。。
諸会費 加入している団体の会費を計上する勘定科目。自治会、町内会といった企業の所在地の地域活動に関わる団体の会費や、同業者団体、青色申告会、商工会議所などの業務活動に関連して加入している団体の会費、そしてこれらの団体に贈った協賛金などが諸会費など。
雑費 上記に属さない費用

事業経費とも個人経費ともいえる曖昧な部分

個人事業主には個人の事業のための支出と個人の生活のための支出があります。

事業のための支出は当然経費になりますが、生活のための支出は認められません。ここで問題になってくるのは生活のための支出であると同時に事業にも関わってくる支出です。

この支出のことを家事関連費と言います。

家事関連費に関しては事業の内容や事業で使用している頻度や生活状況に照らし合わせて、どの程度事業で使用しているのか、どの程度家事で使用しているのかを検討する必要があります。
事業使用分と家事使用分で経費を按分することによって、事業に関係がある支出として算出をする必要があるのです。
例をあげると自宅の電話代金・携帯電話代。インターネット料金などがこれにあたります。
自宅の電話をどの程度仕事として利用しているのか、携帯電話をどの程度使用しているのかを検討して、事業按分をしてから経費を計上します。
1日の仕事の時間の按分の場合は、仕事時間が何時間かということを考慮して決めます。
つまりいつでも事業主は按分ということを頭の中に入れておく必要があるのです。
店舗などを持たずに事業を行っている場合は、自宅兼事務所としている人も多いと思いますが、こういう場合は自宅でかかってくる費用のどれだけを経費として落とせるのかということが問題になりがちです。
自宅兼事務所が賃貸の場合は家賃の何割かは経費として落とすことが可能です。
ただし何割まで認められるかというような決まりごとはありません。
家を自宅兼事務所として使用している場合は、全体平方メートルのうち、何平方メートルを事務所として利用しているかを計測して、割合を算出するのが一般的です。
それにともなって水道光熱費もこの割合を基準にして按分することになります。
ただし水道光熱費のうち、明らかに家事のために使用することがほとんどであるガス代などは按分の対象にならないので注意が必要です。
自己所有の自宅の場合は家賃はありません。
しかし不動産に関する固定資産税や住宅ローンによる借り入れの利息、自宅の建物の減価償却費が事業費と家事費の按分の対象になります。
事業で車を使用している場合ですが、仕事に関係する支出のほとんどは支払った年に金額が落ちます。
しかし固定資産に関しては数年に分割する必要があります。
固定資産は長期間使用することを目的としている資産のことで100,000円以上のものを指し、車などがこれに当たります。
新車の自動車を3,000,000円で購入した時は減価償却という方法で、何年かにわたって分割して計上していきます。
自動車は購入した年だけ使用するものではなく、少なくとも5年近くは乗ることが多いです。
使用する期間のことを耐用年数といいます。
耐用年数は税務署が見積もって発表した法定耐用年数を市使用することになります。
普通の自動車の場合は6年、軽自動車の場合は4年となっています。
自動車を3,000,000円で購入したので、12ヶ月×6年の耐用年数=72回に分割します。
減価償却費は1ヶ月あたりで41,666円となります。
ただしプライベートでこの車を使用する場合はさらに按分する必要が出てくるのをお忘れなく。
プライベートと仕事で半分ずつ使用している場合には計上できるのは半分だけになります。
車の購入代金と同様でガソリン代・自動車保険料・自動車税・タイヤ交換台なども按分して計上する必要があります。
支出を証明するためには領収書などの証拠書類をはじめ、レシート・WEB上の取り引き画面・電子メールの内容をプリントアウトしたもの・クレジットカード利用明細書・振り込み明細書が必要になります。
税務調査をされたときでも内容を説明できるように、領収書を発行してもらう場合は宛名・発行年月日・金額・商品やサービス内容・発行する側の住所や氏名や電話番号・押印・50,000円以上の場合は収入印紙の貼り付けなどに気をつけましょう。
但し書きが簡単な領収証の場合はメモ書きなどをして詳細を記しておくことをおすすめします。
レシートには全てが残っているのでレシートも活用すると良いでしょう。
領収証のない支出の場合はいかに業務に関連している場合でも、認められないのが原則になります。
ただし領収証がもらえない特殊な場合は、こういう理由でお金が使用されたと証明できれば問題はありません。”