確定申告における基礎控除には、38万円と33万円という2つの数字が存在しています。
サラリーマンで申告の手続きが未経験だと、こういった控除の種類があること自体を知らなかったりします。
これら2つの金額は間違いなく基礎控除の種類ですが、確定申告書類には数字の38を記入することになります。
また、他の控除と違い一定の条件を満たす必要がなく、一律で適用されるのが特徴です。
2種類の控除の内の前者は、いわゆる所得税を計算する際に用いる金額です。
収入から経費を差し引いた金額から更に38万円を差し引き、結果が0円なら納税が不要となります。
所得が0円なら確定申告自体が不要ですが、免除されるというだけで義務はありますから、面倒臭がらずに書類を作成して提出するのが賢明です。
例えば収入が限られるパート収入でも、65万円までの給与所得控除と38万円の基礎控除を合わせれば、年間所得が103万円を越えない限り税金が発生しなくなります。
逆に、103万円を越えた金額が課税対象になるというわけです。
一方の33万円は、地域によって異なる住民税の計算に使用する控除額です。
こちらも給与所得控除が有効ですから、98万円を越えなければ0円で、反対に越えればその金額に税率が適用されます。
仮に所得が103万円だとしたら、所得税は控除により0円となるので、所得税の負担は発生しないです。
しかし、住民税は控除額が違いますし、所得額控除額を越えますから、その分が課税対象となります。
厳密にいえば、住民税にはもう1つ非課税控除額があって、住民税の課税に35万円の基準が設けられています。
これは65万円の給与所得控除と組み合わせることで、年間100万円の所得まで住民税が非課税になるという制度です。
つまり、2種類の金額の違いは、所得税と住民税の基礎控除で、所得税に関する確定申告は当然ながら前者の数字で計算します。
申告書類のA第一表には、基礎控除の欄が設けられているので、最初から印刷されている0に加える形で38と書きます。
合計金額もこの数字で計算しますから、住民税の33万円と混同して間違えないように気をつけましょう。
前提が間違っていると計算結果が合わなくなるので、何故33万円ではないのかを理解した上で申告書の対象欄に記入します。
申告書Bの第一表も同じく、38と書き入れて控除額を確定することが必要です。
現在のところ、いずれの申告書類にも33と書き入れる項目はありませんから、住民税以外の計算においてはとりあえず忘れても大丈夫です。
本来、基礎的な控除は誰にでも一律で適用されるので、申告書類に初めから印刷されていたとしてもおかしくないです。
ただ、納税者本人が書き入れて数字を確定する必要があるからか、手書きの申告書類は空欄になっているので、忘れず自分で書く必要があります。
ネットで手続をする確定申告は、該当する項目が38万円と入力済みなので、手書きで書類を作成するよりも楽です。
更に、マイナンバーカードでe-Taxを使った電子申告手続きをする場合は、添付書類が不要になる点も魅力的です。
何かと時間が掛かる書類の用意が省けるので、今後申告の手続きを行う際は負担が小さいe-Taxが狙い目です。
38万円と33万円の数字があって、どちらも基礎控除と呼ばれていることから、申告書を作成する時に混乱を招きます。
ところが、所得税と住民税に分かれていると知ると、疑問は簡単に解けますし、申告書類の作成作業で戸惑うこともなくなります。
金額が統一されれば混乱しませんが、以前よりずっと2つの控除額が使い分けられてきたので、将来的に所得税が見直されない限りは現状のまま続くでしょう。
控除額において5万円の違いは決して小さくないものの、住民税には非課税控除額が存在しますから、住民税の控除額との差はあまり大きくないです。
それよりも、青色申告と白色申告で使える控除や特例の違いの方が、結果的に大きな差を開きます。
控除特典のない白色に対し、青色は10万円の控除と65万円の控除があるので、個人事業主にとって無視できないメリットです。
当然ですが、青色でも白色でも控除に基礎の欄が存在しますし、金額は所得税と住民税に分けられています。
ただし、青色控除はそれ以外の控除の利点も大きいですから、トータルで白色よりも有利な節税が実現します。
確定申告の38万円と33万円自体は、実は所得税か住民税かの違いだけで、他に大きな意味はないです。
書類の作成時に混乱したり数字を間違える恐れはありますが、所得税と住民税の申告書は別々なので、どちらにいずれの控除額が適用されるか理解しておけば心配無用です。
住民税の申告書は所得税をベースに計算しますから、最初に所得額を確定しておくことが不可欠です。
後はそれぞれの書類の計算式に従い、収入から所得と所得税を導きだしたり住民税を出すことで、納めるべき税額が定まります。”