個人事業主としてスタートし、小規模な事業であれば税金で悩むことはありません。

所得税は5%から45%、住民税は10%に設定されているので、売り上げが少ない場合は大きな負担額ではありませんからね。

確定申告も青色申告ソフトを使えば簡素化できるので、個人事業はメリットを充分に感じることができます。

個人事業主が法人成りでメリットを感じるタイミング

売上高が開業当初よりも増えた際には、税金率が高くなることも一般的です。

実例で見た場合、売り上げが1,000万円で利益が200万円、所得控除が100万円の場合は、税金の負担額は約15万円程度で済ませられます。

ところが、開業3年後以上に売り上げが5,000万円、利益が650万円で所得控除が100万円とした場合、消費税が掛かってしまい税金の負担額は総額で290万円程度とかなり高額になります。

個人事業主として営業をしている際には、事業開始から2年間は売上げに影響されずに消費税の負担はありません。

しかし、3年後からは支払義務が生じてしまうので、所得税・住民税・事業税と共に、消費税が高くなることが基本です。この範囲になると個人事業主ではメリットを感じなくなってしまうので、法人成りをすることで事実上節税を行うことができるというメリットを感じることができます。

法人成りとは、その名称通りに個人事業主の方が株式会社などに法人化することを意味しています。

消費税だけで考えた際には、個人事業主でスタートした2年間は非課税です。

更に、法人成りした際にも2年間は非課税になります。

この仕組みを利用してタイミングを見極めることも大切な基準です。

売上高の目安

明確な基準については売上高をチェックすることが前提です。1,000万円未満の場合は個人事業では消費税の対象外とされているのですが、1,000万円を超えた際には対象とされています。1,000万円を超えた際に法人成りをしたとしても、事業開始から半年間で1,000万円の売上げに到達していないケースでは現状では非課税です。

長くて2年間は対象外になる可能性が高いので、このタイミングで株式会社に変更することも一つの方法です。大切になるタイミングの中には利益額をあげることができます。

売上高の目安

先に記した通りに個人事業で利益額が650万円になった際には、税金の負担額は290万円程度です。しかし、翌年に法人成りした場合で、利益額が800万円へと増額できた場合、本人の社長給料を400万円に設定すると、税金額はトータルで約120万円程度にすることができ、この時点で100万円以上もの差額が生じていることが分かります。

法人成りのベストタイミング条件

結論としては良いタイミングでは、売上高が1,000万円を超えた場合と利益額が500万円程度から800万円を超えている場合が対象になります。

この規模に発展した際には、個人事業主のままで営業をすることと比較すると、年間の税金額が150万円から250万円もの差額が出ることが非常に多いので、節税対策として法人を設立することが良いとされています。

季節的な部分でのタイミングというものもあります。事業によっては年間を通して利益を確保できるのではなく、ある季節に集中してしまうという内容も決して少なくありません。

例えば観光業界では夏の季節にピークを迎え、不動産関連であれば春と秋になります。このような業種ではピークを迎える前に法人化することで、上手く節税効果を引き出せることが一般的です。基本は利益額が大きくなると所得税が増えてしまいます。

売上高が大きくなると消費税の負担額が大きくなります。

この点を踏まえて最適なタイミングで法人成りすることで、損をしない会社運営を行うことができます。

法人化を検討している個人事業主さんへ

忙しい毎日を送っている場合や、季節的な部分で手続きをする余裕が無いという方であれば、法人化する際にはプロを利用することも一つの方法です。

司法書士や行政書士の存在するプロの専門会社に依頼することができ、今ではネットを介しても利用可能な会社は沢山あります。手続きをスムーズに行い、肝心な事業運営に支障をきたすことが無いようにしたい際にも便利に利用できるのではないでしょうか。

本来であれば利益額や売上高を目安にするという方法が最も効果的ではありますが、会社を早期に発展させたいと考えている方であれば、早期に株式会社に変えてみることも決して間違いではありません。その理由として、株式会社にした際には各社会保険に加入することができ、従業員を5人以上雇い入れても問題は起きません。

また、社会的信用度というものにも影響をもたらします。

個人事業主よりも株式会社の方が信頼されることになり、特に直販ではなく会社間の取り引きを行うような業種の場合は、数字的なことを理由にせずに早期に株式会社にすることにメリットを感じることがあります。

法人化した後には、以前の個人事業での売り上げは計算されない仕組みになるので、以前は売り上げがあってもゼロからスタートできる点にも注目できます。困った際にはプロの士業事務所に相談することが必要です。