商品やサービスの提供に対して後日代金が支払われる売掛金と、同様の言葉に未収入金が存在していて、何かと混同されることがあります。

これらは単なる言葉上だけでなく、意味に違いがあることに注意が必要です。

売掛金とは

前者の売掛金は、商品とサービスの販売など、自社営業のメインによる収入が対象です。営業で発生した収入のことを売上といって、それにより代金債権が生まれます。

例えば、建設業においては完成工事未収入金、という呼び方が行われることがあるので要注意です。

未収入金とは

未収入金は、消耗品や固定資産の売却で生じた収入と代金債権のことです。つまり、自社のメインとなる営業以外で発生した収入、代金債権をこのように呼び分けているわけです。

法律的には非経常的取引と呼ばれ、いわゆる勘定項目の1つに含まれます。

食料品を取り扱う小売業では、顧客に商品を掛けにより販売した商品の債権を売掛金、使わなくなり業者に売却した配送車は未収入金となります。

債権の時効

これらの債権には実は時効があって、一定期間の経過で自動的に消滅時効となり、債務者に支払い義務から解放されます。

宿泊料金と運送費や飲食代金は1年、月謝や教材費に製造と卸や小売の売掛金は2年です。

診療費や建築代金に設計費、自動車修理料金と工事代金などは3年で時効を迎え消滅することになっています。

それ以外の売掛金は、種類を問わず5年で時効ですから、確実に回収する為には早めの行動が不可欠です。

しかし、期限が迫っているとしても、債権者が手続きを行えば中断できる可能性があります。

訴訟を決めて訴状の提出を行うと、この時点で時間の経過が止まります。

和解に失敗した場合は、1ヶ月以内に訴状を提出しなければ、中断が終了して再び時間が動き始めます。

あくまでも一時的な期限の先延ばしですが、催促書類を内容証明郵便で送っても、郵便物の到着日から最低でも6ヶ月間の猶予ができます。

差し押さえの強制執行でも中断は可能なものの、財産の一括差し押さえは難しく、債権者には債務者に配慮することが求められます。
債務を承認する方法でも、時効を一時的に中断させたり、再び期限を延ばすことが可能です。

これは、既に期限を満了してしまっている場合でも、支払いを約束する書類に債務者がサインを行えば有効となります。

債権の元となった商品、あるいはサービスの種類を除き、どちらも期限つきで回収が行える債権です。

結論としては、社内業務の一環で販売した商品、製造販売や提供したサービスの未回収金を売掛金と呼びます。

未収入金は、固定資産や有価証券などの売却を行い、まだ回収していない代金のことをそういいます。

会社の余剰資金で不動産を買い、賃貸経営で家賃収入を得た場合は、メインの営業で発生した債権ではないので同じくこちらに該当します。

未収金と呼ばれることもありますが、財務諸表上は正式名称として未収入金と表記するのが基本です。

どちらにも共通するのは、債権の回収に期限が設定されていて、やがて時効が成立してしまうということです。

種類によって1年から5年と期間は異なりますが、宿泊料や飲食代金は1年で回収権利が消滅してしまうので気をつけたいところです。

債権者の手続きで一時的に停止させたり期限を先延ばしにできる、そういう方法があることを覚えておくと役立ちます。

いずれにしても、債務者に支払ってもらう代金なのは間違いなく、請求や催促で支払いを求めることができます。

法的拘束力のある手段も選べますが、強引なやり方だと後々遺恨を残してしまうので、なるべく話し合いで解決するのが賢明です。債権は権利の1つであって回収すべき代金なので、種類を問わず早めに回収を済ませるのが理想的です。