個人事業主は収入が38万円以下の場合や収入なしの場合は確定申告をしなくても良いという意見が多いです。しかし、これは大きな間違いであり、確定申告が必要な額は基本的には定められていません。

具体的に言うと、個人事業主であれば収入が1円でも発生すれば確定申告を行う義務はあるのです。

個人事業主は収入なしでも確定申告しておいた方がいいワケ

住民税

理由として、まず収入の中から10パーセントの住民税を支払う必要があります。これは収入に関わらず固定的に支払う必要がある税金のひとつで、個人事業主として事業者登録している方はもちろん、事業者登録をしていないフリーランスの方や在宅ワークを行っている方であっても、支払う必要があるのです。

特に、住民税だけでなくインターネットから得た収入や、仮想通貨の売買の差益によって手に入れた収入、中古品などの物品の売買によって手に入れた収入などは雑所得として取り扱われています。

これは38万円以上の収入が無い場合は深刻をする必要はありませんが、累進課税方式になっているので、知らない間に支払う税金が大きくなっていたということも多いです。

収入が無い場合であっても、確定申告をするべきであるという考え方を身につけることから始める必要があります。

青色申告なら赤字を繰り越せる

それから、収入なしの場合であっても、赤字であれば青色申告で赤字を繰り越すことが出来ます。これにより翌年移行が節税できるのです。

最長で3年間の赤字を繰り越すことができるようになっているので、経営が上手く行っていない場合や、支払う税金が高くなることなどを考慮して、確定申告を行わないで次の年を迎えてしまうと、大きな損失を増やしてしまうことになります。節税は経営をプラスに転じさせるためにも重要な要素のひとつになります。

特に毎年の収支をきちんと把握していれば、赤字を見過ごすことはなく、本来であれば支払う必要がない税金を支払ってしまうことを防ぐことができるのです。

だからこそ、年間の収支はきちんと把握して、節税を徹底することが重要になります。

年間の収支を把握することは申告時の節税だけでなく、個人事業主であれば経営上の問題点を早期発見して、解決に導くことが出来ます。結果的に赤字をこれ以上増やすことがないような経営を行うことができるようになるので、なるべく年間の収支はきちんと把握しておきましょう。

個人事業主の場合は、収入なしの場合もあります。

例えば、農業を営んでいる方の場合は、台風によって農作物の出荷ができなくなってしまい、その年の収入が無くなってしまうこともあります。それだけでなく、農作物の栽培などに使った耕運機のガソリンや植物の種、肥料や水などの支出は非常に大きいです。

これらを無視して深刻を行っていないと、翌年に申告した時に今年の損失額が無視されてしまうので、やや多めの税金を支払ってしまうことになります。これを避けるためにも、毎年必ず深刻を行っておくことが重要になるのです。

もちろん、個人事業主の場合は所得から所得控除を差し引いた額が課税所得になり、それが38万円を超えた場合は所得税の支払いが必要になりますが、それとは別に住民税や、赤字の場合は翌年の節税のためにもきちんと確定申告を行っておいたほうが良いのです。

申告漏れを避ける

また、税務署は最大で7年まで遡って税金の調査を行うことがあります。これまでの収入や所得が隠蔽されている疑いがあれば、税務署の職員が調査に向かうことがあるので、申告漏れは避けなければなりません。

個人事業主は収入なしでも罰則はない

収入なしの場合であっても、具体的な罰則はありませんが、しっかり深刻をしておかなければ収支がマイナスの場合に節税を行うことができませんし、住民税の支払いが滞ってしまう場合もあります。これを避けるためには、きちんとした収支の計算の他にしっかりした申告が重要になるのです。

最近ではコンピューターから税務署のサイトにアクセスして、申告を行うことができるようになっているので、忙しい方であっても少しでも損失額を取り戻すためにも申告しておきましょう。

国民健康保険料に関しても、所得の申告が行われていない場合、去年と同じ額を支払う必要があります。そのため損失が更に増えてしまうのです。

一方で収入が少なくなった場合や、収入なしの場合であれば、国民健康保険料を一部が免除されるなどの特例があるので、事前に申告しておいたほうが無難です。

以上の点から、一年間の収入が38万円を超えてしまった場合のみ申告を行えばいいというわけではなく、住民税の支払いの遅滞を避けたり、国民健康保険料の値下げなどを行うためにも、申告をしておいたほうが良いのです。

特に経営悪化などによって、収支がマイナスに転じた場合は、翌年の収益から支払う税金が安くなるので、申告しておいたほうが後々得になります。申告の際の時間が限られている方であっても、自動化させるソフトウェアやインターネットから簡単に手続きを行うことができるので簡単です。